動中の工夫

坐禅コミュニケーション

疲れているときの坐禅

 残業で遅くなり疲労困憊、もう坐禅どころではない、一刻も早く寝たいというときの工夫。

 原田祖岳『参禅の階梯』(原田祖岳著作集5、原書房)に曰く「六時間を寝る時間にあてておいたとすると、そのうち今一時間を割いて坐禅してみなさい。六時間睡眠した時に比べると一時間減って五時間となってはおるけれども、六時間にたいして決して睡眠不足を感ずることはない、かえって六時間寝た時よりも効果が多い、ちょっと坐禅の意義が分からない方は、変に考えるかも知れぬが、普通にいえば六時間の睡眠時間が、一時間減ったのであるから、睡眠不足で活動が出来ないと、お考えになるかも知れないが、事実は全く反対である」(213頁)と。

 実際は30分でも一炷でも良いと思う。理屈から言えば、忙しかった日は精神が興奮し心意識の運転速度が速くなっているから、坐禅で「心意識の運転を停め」れば睡眠が深くなるということだろうか。私は本当に疲れている時は床について自律訓練法をやりながらそのまま寝てしまうが、目覚めはよい。もちろんサボることもあるけれど、本当は線香を半分に折ってその分だけでも坐ると、疲れがとれるものである。