動中の工夫

坐禅コミュニケーション

動中の工夫―回転数の一致―

 一口に「動中の工夫」といっても、作業によって要求される回転数は異なる。また個々の力量によっても回転数は必然的に異なる。

 ゆっくり正確に行う作業、素早くラフに行う作業、手早くかつ性格に行う作業などいろいろあるが、大切なことは、要求される回転数にピッタリ自分の回転数を一致させることである。

 決して自分の力量が高くなく、熟練した人に比べれば遅いという場合でも、要求される回転数にピッタリ一致している人は、周囲から見ても遅くてイライラするどころか美しく見えるものである。反対に相当スピーディーにこなせる人でも、どこか何かに追い立てられている下のように作業していれば、どこかぎこちなく見えてしまうのである。

 おそらく要求される回転数と自分の回転数が一致している場合、最も集中した状態になっており、自分のことを自分でチェックする「観の目」が働いている、いわば「只管作業」となっているのであろう。行為自体に喜びがあり、我を忘れて働いている。したがって忘我状態とはいえミスも少なく、随所に主となっているから積極的なのである。

 大切なことは、要求される回転数にピッタリ自分の回転数を一致させることである。そのためには周りをよく見なければならない。もちろん要求される回転数と自分の回転数が一致しているという人も、さらなる向上を常に狙ってゆかなければならないだろうけれども