動中の工夫

坐禅コミュニケーション

仏性をもったイヌ

 「イヌにも仏性があるでしょうか?」「無」という問答が禅の公案にある。それはさておき私は早朝に散歩しながら、「コイツは仏性をもってるんじゃないか」と思うイヌのもとへ参じている。このイヌは近所の家で飼われている飼い犬である。

 このイヌ、こちらが挨拶してもたれぱんだのごとくダランと弛緩し、首を動かすのも懶いといった表情で、こちらの方を向く。が、興味がないのか、疲れるのが嫌なのかまたすぐ寝てしまう。なんとも不自然な体勢で寝ているのだが、楽な姿勢に直すのも懶いといった様子である。

 また顏が非常にひょうきんで、茶の毛並みに鼻と口のあたりに黒のぶちがあり、思わずほほえんでしまう。ただイヌ仲間には人気者のようで、よく放し飼いのイヌが遊びに来ている。

 いつもはだるそうにしているのだが、他のイヌが来ると元気にじゃれるし、近所のイヌ仲間の遠吠えにもちゃんと参加している。それこそ何時間も夢中で吠え続ける。飼い主とも元気に遊ぶ。行動それ自体にやはり喜びを感じているようである。

 見ているだけでこちらがほっとさせられる。これはやはり「仏性をもったイヌ」と認めてよいのではないかと思う。