動中の工夫

坐禅コミュニケーション

「ゾーン」の実例

 理想的な心理状態をスポーツの分野では「フロー」とか「ゾーン」と呼んでいる。以前、要求される回転数にピッタリ自分の回転数を一致させる重要性を書いたが(http://blogs.yahoo.co.jp/dongzhongdegongfu/12785418.html)、「ゾーン」はまさにこの状態である。

 以下に私の「ゾーン」体験を書いておき、今後の動中の工夫に生かせるところは生かしたい。

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 それは私の修士論文提出期限前の24時間に起こっていた。

 私の身心状態を述べると、1日の睡眠は3時間程度、食事は三食すべて学食で一か月以上もすごしており、体力は低下していたと思う。またアパートの室温は明け方には2-3℃となる季節であった。

 状態は、全てのことが先読みできて、どれくらい時間がかかるかが正確に予測できた。また非常に素早く誤字・脱字を発見できた。それだけでなく他の院生の手助けをする余裕もあり、提出期限10分前においてなお製本を美しく仕上げる、誤字・脱字を訂正することができた。

 非常に回転数は速くなっていたのに、頭の中は焦ることもなく、妙にクールであり判断力は普段より高まっていた。あまりに冷静すぎて、他人からは機械のような少し冷たい印象に移ったという。
 
 ことわっておくが是は普段の自分とは正反対である。いつもはすぐ焦ってしまい失敗する精神的に弱いところがある。ではなぜこんなに上手くいったのか?

 これは結局、行為と自己が、あるいは事物と自己がピッタリ一致していたからに違いない。