動中の工夫

坐禅コミュニケーション

暑い日の坐禅における工夫

 今日の坐禅会の法話より。

 「人皆苦炎熱、我愛夏日長、熏風自南来、殿閣生微涼」(人は皆な炎熱に苦しむも、我は夏日の長きを愛す。薫風自南来、殿閣微涼を生ず)という漢詩がある。暑い時の坐禅は汗だくになってしまい苦しいが、その分禅定力も練れると考えて坐るがよいという話だった。夏は日が長いから、仕事をしようと思えば、働ける時間は他の季節より確かに長いのである。

 今、庫裏の屋根の改修が進んでいて、職人さんが入って仕事されているとのこと。仕事とはいえ暑い日に一日中、外で力仕事をするのは大変であろう。疲れは身心に及んでもおかしくはない。しかし職人さん達はまことにイキが合っており、一緒に休憩中お茶を飲んだ和尚さんも、楽しく仕事をしておられることを感心されていた。私なら「今日も仕事かあ、いきたくねえな」と思ってしまうだろう。

 坐禅中の脳波を調べた実験で、坐禅中、物音などをたてると脳波が正常にもどるそうだ。普通の人はいちど正常に戻ると禅定の脳波になるまでは時間がかかる。そしてこの物音の刺激を繰り返し与えていくと、普通の人はその刺激になれて禅定中の脳波が乱れなくなるらしい。

 ところが師家クラスの坐禅の達人になると、この刺激になれることなく、しっかり刺激に反応するらしい。そのかわりすぐに禅定の脳波に戻るそうである。

 この結果を「坐禅の達人がいつまでも同じ刺激に新鮮に反応できる」ことの裏付けと研究者は結論づけていたと思う。

 だから暑い日のいつもどうりの坐禅も、あるいは昨日と同じ仕事も、ちょっとした気持ち次第で新鮮に行い続けることが出来るはずなのである。