動中の工夫

坐禅コミュニケーション

坐禅を継続する工夫と親切について

 去年の夏、半日ほどの小摂心に参加させて頂いた。初心者であったし、終わった時の疲労は相当で筋肉が凝り固まっていた。明日からまた仕事かあ、きついなあと正直思っていた。

 終わる際の講座にて和尚が「今日の小摂心で、肚に力が相当蓄えられたはずである。その力で一つ溌剌と一週間をすごして頂きたい」とお話しされた。

 そのお話しを聞いた瞬間(それまでは凝り固まった肩・腰に意識が向いてくたびれておったのだが)、意識が肚・丹田に向いた、するとなんともすがすがしい気持ちになった。立ち上がり歩くにしても、丹田に意識が向いて、なんとも力強い、よしやるぞという気持ちになってきた。

 この体験に教訓が二つある。

 一つは坐から日常生活に、静中から動中に移るときに、あるいは動中にて自分の収まり具合を点検する際には、坐禅で蓄えた肚の力に意識を向けてみるのも手であるということである。とかく動中では肚だの姿勢だのということを忘れて、習慣に流されているからである。そして疲労の極みであろうとも意識の向け方一つで感じ方が180度異なってくるということである。

 坐禅にあきてやる気が起きないときも今一度坐り、坐り終えたときのすがすがしさを確認するというのも継続する秘訣かもしれない。

 もう一つはやはり身体感覚に訴えかける親切なアドバイスは有り難いということである。あのひとことがなければ「やはり坐禅はきついだけだ」と感じていたかもしれない。よい師にめぐりあうことも継続の秘訣であることはいうまでもない。