動中の工夫

坐禅コミュニケーション

髪の毛を触る癖

 髪の毛を触る癖があった。後頭部の髪の毛をつまんでひねって爪を立ててしまうので、次第にその部分の髪が傷んでしまう。他人も不快に感じるし、何より自分でも嫌な癖だった。

 こういった悪癖・強迫行為を改善する達人的アドバイスの中に
「強迫行動をとりたくなったら、それを選ぶ代わりに、性的なファンタジーをする方を選ぶ」(メリィ M.グールディング,ロバート L.グールディング『自己実現への再決断』491頁)
というものがある。これは強迫行為が、禁じられている性的な考えや感情に対する〈適応した子供〉の防衛手段として用いられている場合が多いという、交流分析の考え方に基づいているらしい。

 私もこの方法を試してみたが、あまりうまくいかなかった。髪の毛を触るのが、馴染みのある触覚による安心感になっていたからかもしれない。そこで仕事を辞めて自宅にいるときは、出来るだけフードをかぶるようにして髪の毛を触らないようにした。と同時に「緊張しても髪の毛を触らないでいられる、自分は髪の毛を触るという強迫行為から解放される!」とことあるごとに言い聞かせた。

 すると次第に髪の傷みが無くなり、髪の毛が気にならなくなった。この悪癖が無くなって、かえってストレスが減ったような気がする。