動中の工夫

坐禅コミュニケーション

捨てる心構え

 辰巳渚氏は「一方、昔ながらの妖怪には、付喪神というものがいる。そのへんにうち捨てられた古い器物が魂を持って悪さをする妖怪だ。いわば、「ほっとかないでお化け」である。やはり筆者には、昔の人は現代の私たちよりも、もっと捨てることに敏感だったような気がしてならない。物の魂(本体)に敏感だからこそ「もったいない」と思って使える物をほったらかしにしておかず、使わなくなったら針供養のようにきっちり捨ててきたのだ」(『新装・増補版「捨てる!」技術』16頁)と述べている。

 この本には捨てる工夫が満載だ。私はかびくさくなった雑巾はすぐに捨てるべきだと思う。一生懸命掃除してもにおいでかえって不快になってしまう。

 『セロトニン欠乏脳』などの著書でおなじみの有田秀穂氏も家事・掃除をお勧めしていた。家事・掃除のとき「捨てる心構え」を持っているとよいのではないか?作業中、いらないものを捨てる判断することもまた「動中の工夫」と思ってもよいかもしれない。