動中の工夫

坐禅コミュニケーション

観の目で会話せよ

 ある研修で、カウンセリング、コンサルティング、営業などに生かせるやり方を学んだ。まとめると、

・会話をする前に、いくつ可能性が思いつくか?

・その思いついた考えには正解はない、間違いもない。

 たとえば悩みを相談してあげるとする。このときにどれだけの可能性が思いつくか?しかし思いついた回答は正解でもないし間違いでもないというわけである。しかし、悩みが少しでも解決するようにとあの手この手と考えるわけであるから、たくさんの可能性が思いつくほうがよいことは確かである。慈悲の心があるからこそ千手観音のごとくいろんな方法で救おうとするわけである。

 しかし、普段の私と言えば、一つの考え方に拘泥してしまい、思わぬことを相手から求められて、しどろもどろになってしまうわけである。たくさんの可能性を考えるということからも、あいてに貢献するという観点からも一つの考えに「こだわり」「とらわれる」ということが曲者となる。正解でも間違いでもない一つの考えにとらわれては身動きがとれなくなってしまうからである。

 宮本武蔵の「観」の目のように全体を見ることが大切である。さもなければおもいっきり「こだわり」、こだわりを突き抜けてしまうことである。どちらの方法にしろ「こだわり」を打ち破るにはそれなりの力が必要なのである。だからこそ観音様は「観自在菩薩」なのだろう。