動中の工夫

坐禅コミュニケーション

ひきこもりの利点・欠点

 築山節氏曰く「その目を動かさない時間が長くなりすぎると、視覚的注意の向け方がスムーズに切り替わりにくくなります。(中略)このこと自体は一時的な現象で、脳機能の低下とは関係ありません。(中略)ところが、目を動かさない時間があまりにも長い生活を毎日、何か月も続けてしまうと、簡単には戻らなくなるということが起こり得ます。(中略)そうなっている人は端から見ると、パソコンやテレビに向かっていないときでも、常に一点を見つめているように見えるのと同時に、本人の自覚としては、次のように感じる場面が多くなるはずです。
・人から話しかけられたときにパッと反応できなくなる
・周囲の変化に疎くなる
・人から物忘れを指摘されることが多くなる
・同じことを繰り返し考えがちになる」と(『脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める』102-104頁 )。

 これらの自覚傾向は自閉症スペクトラムの傾向と似通っている。相違点は生活環境という後天的な要因によるということである。

 この傾向が続けば社会的に孤立しがちになり「ひきこもり」になるかもしれない。するとますます「目を動かさない時間」を過ごしがちになり、悪い傾向が助長されることになる。

 一方、「ひきこもり」の時間が、人生において有用であるということもよくいわれる。交流分析でいわれる悪いゲームを人間関係において繰り返し、状況を悪化し破滅の道を歩んでいる場合は、一度人間関係を「ひきこもり」により中断し、悪いゲームから抜け出す努力をすることも出来る。

 これら「ひきこもり」の利点・欠点、そして筆者の半年間のひきこもり体験を踏まえた上で、ひきこもるときの工夫について考えてゆきたい。