動中の工夫

坐禅コミュニケーション

釈宗演老師の座右の銘 九か条

釈宗演老師の座右の銘 九か条(正木晃『禅』162-163頁、PHP研究所

一、早起未改衣静坐一炷香
  早く起き未だ衣を改めず、静坐一炷香
一、既著衣帯必礼神仏
  既に衣帯を著くるば必ず神仏を礼す
一、眠不違時食不至飽
  眠は時を違えず、食は飽くに至らず
一、接客如独処独処如接客
  客に接するは独り処るが如くし、独り処るは客に接するが如くす
一、尋常不苟言言則必行
  尋常苟くも言わず、言えば則ち必ず行う
一、臨機莫譲当事再思
  機に臨みて譲ること莫かれ、事に当りて再思ず
一、莫妄想過去遠慮将来
  妄りに過去を想うこと莫かれ、遠く将来を慮れ
一、負丈夫之気抱小児之心
  丈夫の気を負い、小児の心を抱け
一、就寝如蓋棺離蓐如脱履
  寝に就くは棺を蓋うが如くし、蓐を離るるは履を脱ぐが如くす

 宗演老師の達人的身体技法がこの短い句に詰め込まれている。「蓐を離るるは履を脱ぐが如くす」は「起きるときは草履を脱ぐときのようにさっと起きましょう」という意味で、とても懇切丁寧な起床法の説明である。現代語訳は上記文献を参考にされたい。