動中の工夫

坐禅コミュニケーション

爪をこする癖

 私は爪をこする癖がある。親指の爪はこすりすぎてマニュキアをぬったようにピカピカ光っている。これは直したい、ぜひ直したいと日々勇猛心をかき立てている。

 弟子丸泰仙は坐禅中の「法界定印」に心理状態が現れると指摘する。要旨をまとめると、
・親指の頭がとがり山形になる:心が散乱、神経質、気が散る、他のことを考えている心理状態
・親指の頭が下がり谷型になる:心が昏沈、気が沈む、ぼんやりしている心理状態
したがって「坐禅をしながら手に心を集中する習慣がつくと、それがしつけになって、日常の生活でも無意識に精神が手に集中し、手の動きがいつも生き生きとしてくるのである」(池見酉次郎・弟子丸泰仙『セルフ・コントロールと禅』117-118頁)と述べている。

 坐禅中に「手に心を集中する習慣」をつけながら、日常生活でも爪はこすらないよう気をつけたいものである。