動中の工夫

坐禅コミュニケーション

目標の取り違えエラー

 認知心理学の海保博之先生が提唱するエラー分類の一つ。

 外部目標:外部から提示された使命(例)社訓・売り上げノルマ
 内部目標:自己の目標

 海保先生は「その外部目標が曖昧だったり、矛盾していたりすると、それを取り込む際に、外部目標と内部目標の間にギャップができてしまう。そして、そのギャップが、ミス発生の芽となってしまうのである」(海保博之『ミスをきっぱりなくす本』、38頁)「一生懸命にやればやるほどミスを引き起こし、それによる被害が拡大してしまうことがあるので、扱いがやっかいなところである」(同書、40頁)と述べている。

 こういったミスは医療業界でよくあることである。激務の医師が医療事故を引き起こす、あるいは過労死する。医療業界は医療費抑制のため収入源を年々減らしているため、また人材そのものの不足のため、どこの医療機関でもスタッフはぎりぎりで仕事をしている。あるいは船場吉兆の事件も、上の命令で板前さん達は泣く泣く使い回しをしていたのだと思う。

 したがって自己防衛の手段としては、「一生懸命」の方向性について考えてみることである。会社に対して、顧客に対して、また家族に対して…、そのバランスをとる能力がミスを減らすことにつながるのであると思う。