動中の工夫

坐禅コミュニケーション

前後裁断―数息観の工夫

 平成21年5月28日朝日新聞朝刊に巨人の小久保選手の帽子のつばに「前後裁断」と書き込まれていることが記事になっていた。

 「前後裁断」とGoogleで検索すると、阪神・下柳選手、横浜・工藤選手、日ハム・江尻選手などプロ野球選手が多く座右の銘としているようだ(楽天・野村監督の影響か?)

 一般には「過去や未来を断ち切って今に集中すること」と解される。

 坐禅中、二の念を継がないように「ヒトーツ、フターツ」と数息観に帰るようにすると言われる。これにより「前後裁断」がつかめるという。もとより根無し草の妄念は前後裁断により断ち切れてしまうのだという。

 悟りたい、無字を見たいと思って坐禅していると、思いの外、雑になってしまっていることがある。公案により坐禅するときも、まず数息観から入るとよいというのも、「前後裁断」する綿密な集中力が見性に要求されるからなのかもしれない。