アンチエイジングの瞑想法を考案しました
想定外のことが起こってもうまく対応できなくなってくる、更年期障害など性ホルモンの関係もあろうが、前頭葉のはたらきが衰えてくるということも関連しているらしい。
瞑想は前頭葉の働きを改善して感情のコントロールにもよい影響があるといわれている。そこでとくに加齢による感情のコントロールや柔軟性の低下に対応した瞑想法を考えてみたので紹介したい。
その方法とは「Z1,2,3」である。その前に背景となる方法についてまず紹介する。
数息観
坐禅中、吐く息に合わせて「ヒトーツ、フターツ」と1~10まで数える。10までいったら1から戻ってこれを繰り返す。筋トレでフォームが大切なのと同様、まず姿勢を正し、つぎに呼吸も腹の力で吐気を押し出すような意識をしっかり確認しながら行う。
初心者のうちは1~100までを繰り返すのもよい。
坐禅は調身、調息、調心といわれるが、数息観で身体と呼吸を調えることで、心を調えてゆく。数と息がピッタリ一枚となるように集中する。
無字の公案
数息観に習熟すると、1~10までの変化の幅が坐禅の妨げになってくる。より深い禅定に入るためにより専一する必要が出てくる。
そんなときは数息観の代わりに呼吸に合わせて「ム~ム~」とやる。漢字の「無」よりカタカナの「ム~」がよい。
無字の公案とは、趙州禅師にある僧が「犬に仏性はあるかないか」と尋ね趙州禅師はただ「無」と答えたという話である。この話を理屈ではなく身体で「ム~」と坐禅することで取り組むのである。
お題目
数息観のかわりに吐く息に合わせて「南無妙法蓮華経」と心の中で唱える。
声に出して「南無妙法蓮華経」と唱題することも大切であるが、坐禅の呼吸に合わせて心の中で唱えていると、日常生活でも応用ができるようになる。すなわち声に出して唱えられない環境でも、たとえば通勤の電車などでも呼吸しながら唱題ができる。
数息観では坐禅中に眠くなるようなときに、こちらの方法に切り替えると覚醒方向のベクトルに傾き坐禅に集中できるようになる。
臨済宗中興の祖・白隠禅師は法華宗信者からの坐禅に関する相談を受けたとき「南無妙法蓮華経」に専念しなさいと指導されたという逸話がある。
N1,2,3
これまでの方法を換言すると「キーワードを用いた坐禅」という事ができると思う。そのキーワード坐禅の進化形が「N1,2,3」である。この方法は岩倉克年さん(https://thezazen1.at-ninja.jp/)考案の方法で、「脳トレ1,2,3」の意味である。呼吸に合わせて心で唱えるのに「脳トレ1,2,3」より「N1,2,3」のほうが唱えやすい。
「N」に「脳トレ」の意味が込められているので坐禅中の妄想や昏沈に気づいて修正しやすく、覚醒方向のベクトルに戻してくれる効果が高い。
Z1,2,3
前者の方法を修正したバージョンで今回紹介するメインの方法である。「Z」には「随所に主となる(いつでも主体的になる)」「前頭葉」「坐禅」「禅(定)」などの意味が込められている。加齢による感情のコントロール低下を改善して、また日常に忙殺されて失われた主体性を取り戻す効果がある。
坐禅で培われた「禅定力」は他者に向けられ活かされてこそ意味がある。すなわち「善行」の意味も、また忘れやすい「懺悔」の気持ちも、「罪障消滅」の願いも込められている。
附)イメージを用いた坐禅
ここまでキーワードを用いた坐禅を紹介したが、イメージを用いた坐禅もある。
2つほど挙げるにとどめる。一つは玄侑宗久師の「喫水線呼吸法」。吸気呼気にあわせて喫水線を上下させるイメージで坐禅する。下記書籍に詳しい。
もう一つは頭頂からコインを落とすとお尻の穴から落ちていく姿勢で坐る。その落下が描く直線を軸に坐り、ヒトーツ、フターツと数息観しながら軸を掘り下げてゆくイメージで坐る。座布団をぶち抜き、畳をぶち抜き、地球をもぶち抜くように呼吸して坐る。このイメージである。
イメージを用いた坐禅では、イメージに入りすぎて外界の刺激から閉ざされ眠くなったりと悪影響になるケースもあるので、40代以降の坐禅では覚醒方向のベクトルを意識した今回の紹介したような坐禅のほうがいいのではないかなと思い、今回記事にまとめた次第である。